もしかして、アクマ天使も実物を見たことないのか。この商店街の中で一個だけなんて。広すぎるし、人も物も多いし、見つけられるのかな。

 ナビは『ミツケタミツケタ』ってひたすら言うだけだし。一体どうやって探せばいいの。

「ピコンピコン。パタパタパタ。キタヨ。キタヨ」

 ナビが違う反応を示したので、アクマ天使の手の中を覗き込んだ。

「ん? ナビっち。何だって?」

「きゃああぁぁっ! やっ、何するの!」

 突然、背後から悲鳴が聞こえてきた。

 その先を見ているアクマ天使が、人差し指でメガネの蔓をくぃっと上げた。

「ちっ、厄介だな。男に憑いたか。来たぞ、助手。初仕事だ」

「え、えええ? 仕事って、嘘でしょ!? ちょ、あれっ、あれをどうすんの!」

 もさもさした髪型の男の人が、女の子に抱きついている。髭も生やしていて、ちょっと見、某ダンスボーカルグループにいそうなタイプだ。右肩の辺りに、ピンポン玉サイズの光がふわふわ飛んでいる。

 あれが、精玉?

「スキスキ。アイシテルゥ」

「ん、ちょ、やだ。ん、ん、た、助けて、離してってばっ」