私を掴んでいる髭天使の太い腕に、女の子天使がしがみついた。
「何ぃ!?」
「このひと、りくとーるさまの、じょしゅだよ!」
「一番隊隊長の? それは本当かぁ?」
疑いのこもった声だ。カラカラと笑って、信用していない。
「ほんとだぞ。りくとーるさまに、おこられるぞ!」
「そんなことして、いけないんだ。ぜったい、ばつをうけるぞ!」
男の子たちも加勢して、髭天使の前で通せんぼをする。髭天使は三人の顔を順番に見て、首を傾げた。
「うぬ~、しかしだなあ。そんなお方が来るとは、我等は何も聞いておらんぞぉ。それに、女、しかも子どもじゃぁないか。助手だとは、とても信じられん。だから、怪しいのだ。うん、連れていく」
「だめだもん!」
「いけないんだぞ!」
「ばかにすんな! こいつ、つよいんだからな!」
三人とも、髭天使の腕や足にしがみついて一生懸命止めてくれている。
「え~い、邪魔するな! これが俺の仕事だ。離せ、ちびども。このっ、離さんか!」
「やだもん!」
「うおっ、イテテテ! こらあっ、やめんか!」