私はアクマ天使のことを、なにも知らない。助手なのに教えてくれないんだ。信用されてないのかな。

 なんだかへこんできた。あーあ、ため息が出る。

 誰もしゃべらなくなって静かになると、パタパタパタって、小さな羽音がした。「ぴ」って鳴き声もしている。

「あっ、ぴぃちゃん。いつの間に入って来たの?」

 ドアは閉まっているし、窓は網戸なのに、テーブルの上にぴぃちゃんがいて、ちょんちょんと歩いている。

 もしかしてずっと部屋にいたのかな。何かを探すように、小さな頭をキョロキョロさせている。

「腹が減ったんだろ」

「あ、じゃあ、春川さんに餌をもらってくる!」

「アカリさん、待ってください。自分、餌を持ってます。いつでもあげられるように、持ち歩いてますから」

 サナダが小さな袋を出して、ぴぃちゃんの前にパラパラと餌を撒いた。

 いつでも……って、変わっている。サナダは鳥が好きなのかな。イマドキな見かけによらず、愛鳥家で、バードウォッチングをする人なのかも。

「ありがとうございます。ぴぃちゃん、良かったね。おいしいね!」

 よっぽどお腹空いてたのか。夢中でついばんでいて、超可愛い。