ざわざわざわ。広場の方から色んな声が聞こえてくる。光るフレーレや歌手から光が出たのは、一般の人には見えなかったみたいだ。
イベント担当の人達は、ハッとしたような顔をした後、わたわたと歌手の方に駆け寄っていく。
「ね、どうすんの? あの歌手は大丈夫なの?」
「心配すんな。アルバルクが始末をす──、ちっ、まさかアイツ! 来い、アカリ!」
「は、うひゃぁっ」
ガバッと覆い被さってきたアクマ天使に驚いて、咄嗟に目をつむった。途端にグンッと体が持ち上がった感触がする。
「ったく、アイツ──焦るだろうが」
アクマ天使の呟きが聞こえたのでそっと目を開けたら、吹き抜けの天井近くに浮いていた。眼下のイベント広場は、真っ白な光の渦に包まれている。
シュウゥゥと音を立てて収縮していく光の中から、アルバルクに抱えられた黒服が出てきた。
「お前なあ、加減しろ。危うくコイツの記憶までリセットするところだったぞ」
「何言ってるんだいリクトール。君なら、すぐに気付いて逃げるって信じていたんだよ。ああ、お譲さん。驚かせてすまなかったね」
「いえ、いいです。あの、歌手の人は大丈夫なんですか? 何が憑いてたんですか?」
「うわあぁぁ! やっぱり可愛いなあぁ。萌えるなあぁ。リクトールには勿体無い。そうだ、君の拠点に招待してくれないか。そこで、ゆっくり話してあげるよ」
「はい? 私の拠点、ですか?」
「教会にいるんだろう? そこだよ」
アルバルクはにまーっと笑い、ウィンクをしてくる。
それを見たアクマ天使は、ふか~いため息を吐いた。
「ついて来い」