似顔絵でも超爽やかだ。ツンツン尖っていた心が癒される。テンションも上がる。こんな笑顔の人は、さっきの犯人みたいに悪いことなどしないのだ。

「それ、知ってる男か」

 上から超不機嫌そうな声が降って来た。急いでるのに立ち止まっているのが気に入らないみたい。

 だけどもうちょっと待って。お願いだから。

「うん、俳優さん。私のイチオシの人!」

 何気につけていたTVで初めてこの人を見た瞬間、大衝撃を受けたのだ。何て爽やかなんだ!って。

「ふん、ニヤケてんじゃねえ。行くぞ。……と、言いてぇところだが。ついに来たぞ。近い」

「え、ほんとに? どこ?」

 ナビっちを握ったアクマ天使の鋭い目が、周囲を見廻す。

 私も吹き抜けの天井を見上げたり、似顔絵描きの人にそのお客さん、周りのお店に気を配る。けど、どこにも気配がない。

「アカリ、ここじゃねえ。多分下だ」

 アクマ天使が一階を指した。

 そこには、ステージが設けられた広場がある。ピアノとスピーカーがあり、スタッフジャンバーを着た人が右往左往している。今から何かのイベントが始まるんだ。

「あそこにいる、少し派手で目立つ女……多分、アイツだな」

「狙われてる人を見つけたの? それなら早く下に……って、うわあっ、ちょっと! 何してんの!?」