「ドヤ顔すんな。この位当然だっつーの。だが、お前にしてはよく頑張ったな。全部正解だ。やれば出来るじゃねぇか」

 すっと伸びてきたアクマ天使の手が、私の頭を優しく撫でる。

 おまけに髪の毛をすくって指で梳き始めた。

 嘘だ。こんなの不意打ちだ。

 アクマ天使のくせに、目も柔らかく見えるし、いつもと様子が違う。心臓が、とくんと鳴る。ヤバい。

「えええっと、その。あ、当たり前じゃない。只今絶賛成長中の女子高生の吸収力を、なめないでよっ」

 ぶんぶんと手を振り回し、髪を触り続ける手を避ける。

 こんな雰囲気は、慣れていない。心臓がドクドクとうるさすぎる。

 私の顔、赤くないかな。やだやだっ、白くなれ~! 

 手の平で、頬をぎゅうぎゅう擦っていると、クスッと息が漏れる音がした。

 まさか、今、笑った!? 

 振り向くとまた手が伸びてくるのが見えたから、サッとかわした。剣道で鍛えた反射神経。同じ手をくらう私ではないのだ。

「ちっ、避けんな。無駄に運動神経がいいな。それにお前なぁ、もっといいシャンプー使え。イマイチ手触りが良くねえぞ。俺は、もう少し柔らかい方が好みだ」

「へ?」