本から顔を上げて、ため息混じりに言う。

 仕方ないじゃない。天才でアクマな天使のあなたと違って、私は、ごくごく普通で平凡な頭脳なんだから。

「……仕方ねぇな」

 アクマ天使は本を閉じて隣に移動して来ると、私のシャーペンを奪った。

「お前、根本的に違う。これはなぁ。まず、使うのはこの公式じゃねえぞ。こっちを使って解け。つい最近に習ったんだろーが」

 公式をサラサラとノートに書きこむ。これがまた、美しい字で感心する。本当に非の打ち所がないんだ。性格以外は。

「大体決まってんだ。こういう問いには、これを使え」

「あのさ、こういう問いって、どんなの?」

 頭の中にも目にも、疑問符をたくさん浮かべた。するとアクマ天使は、眉をしかめて、シャーペンで自分の額をトントン叩いた。

「ったく。例えば、だ」

 例を作って、図解付きで丁寧に説明してくれる。

「ん~ん? あ! そっか、分かった! そういうことか。ありがと!」

なぁんだ、実は簡単なんだ。つっかえていたものがポロンと取れて、頭の中がぱーっと晴れた感じがする。分かるって素敵だ!

「すごいね、教え方上手だね!」