『県大会、頑張ってね。真帆りんなら全国狙えるよ。応援してるよ!』
再び送信し、スマホを置いて息を吐いた。
「道場か、懐かしいな。先生達、元気かな」
中学の部活を引退してからだから、もう一年くらい顔を出していない。いろいろ思い出してしまう。
小学生の頃、真帆りんとはいろんなことを話したっけ。将来の夢とか、好きなタレントの話とか。
「あ、他にもメールきてるんだっけ」
メールボックスには二通届いていた。ひとつは少林寺ちゃん。もうひとつは、香奈からだ。
少林寺ちゃんからは、日帰り旅行のお知らせ。香奈からは、かねてからアプローチされていた先輩と付き合い始めたという報告だった。
「うひゃー。とうとう告られたんだぁ。なんてこった、今日は目出たいことが多い!」
昼間の悪玉の一件が帳消しになるくらい、最高な気分だ。スマホを置いて、枕の傍にあるウサギのぬぐるみをぎゅううぅと抱き締める。
「でも、あんなカッコイイ彼氏、いいなあ。〝好きだ〟って言われたんだ。きゃああぁぁっ」
ウサギのぬいぐるみを抱きしめたまま、ゴロゴロとベッドの上を転がった。香奈ってば、超羨ましい。私も言われたいっ! 憧れちゃう!
『アカリ』