紙袋の中に、紙パックや缶のジュースがたくさん入っている。お店の贈答品コーナーでよく見る高級なものだ。
「わあ、こんなにたくさん。私はもう、ちっちゃい子じゃないのに」
「みんなにとっては、いつまでたってもあの時のまま小さいのよ。ほら持って、運んで」
「そっか。あれ以来会ってないもんね。ん、ほんと重いね!」
警察官だったパパが死んじゃったのは、私が小六のとき。
卒業間近の寒い時だった。雪が降っていたのを覚えている。
お葬式には、署長さんやパパの仲間の人、私には分からないような偉い人がたくさん来ていた。
びしっと敬礼して見送ってくれる人達の肩や帽子に、雪がどんどん積もっていって。ママはずっと唇を引き結んで厳しい顔して、泣くのを我慢していた。
「あ、ジュース冷蔵庫入れとくね。お風呂上りに飲もうっと。あ、りんごジュースがいいな」
「そうだ、朱里。今日真帆ちゃんのママに会ったわ。病院にいらしてて。真帆ちゃん、地区大会個人優勝したんですって。今度は県大会だって嬉しそうにしてらしたわ」
「ほんと!? 一年生なのにすっごーい、さすが真帆りん! そっかぁ、メールしなくちゃ!」