.........................................................................。
私は眠たい目を擦りながら時刻を確認する

"5:48 AM"


「あ.............あれは夢」
私は夢だったと気づき安堵した。

どうやら私は深い眠りに落ちていたようだ。
確か私は昨夜、勉強をしていて仮眠を取ろうとしたが結局朝まで眠ってしまったようだ。

そして私は夢を見た。
夢の余韻がまだ薄らと残っていた。



あの男の子は何だったんだろう、誰なんだろう




突然私の前に立ち尽くし、私に何かを訴えかけていた様子を思い出してしまった。



しかし、夢だからそこまで深く考える必要はないだろう
だって所詮、夢だから

とはいえやはり気になってしまうものだ。



私は、渚 葉月(なぎさ はづき) 17歳
平凡な普通の高校生
私はある問題を抱えている。


私には幼い頃の記憶がない。



私は、5歳の頃に重度な交通事故に遭ったそうだ。
それ以来、病院に救急搬送されたが意識は戻らなかったらしい。


ただその一週間後、奇跡的に目を覚ました私は助かった。



私は思う
もしそのまま意識が戻らなかったら今の私はいなかっただろう
そう思うと本当に複雑な気持ちになる



ただ、そのとき記憶(きおく)が喪われた。


その病院で目を覚ましたものの両親のことは覚えていなかった。


「脳がリセットされた」ということだった。


ただ、後遺症は幸いなく現在のように不自由なく「(いま)」を生きれている。



でも時々気になることがある。

私の幼い頃ってどんな感じだったんだろうって
思い出せないことがもどかしいというか

不思議な感覚に陥るというか。



私はある日、両親に聞いてみた

だけれど答えてくれなかった。

何度聞いても誤魔化して何も聞き出すことが出来なかった。

とうとう

「もうそれ以上聞くな」

なんて言われてしまったくらいだ。


両親はあの日の事故について相当心が傷んでるんだと私は思った。
そう思った私は、もう聞くのをやめた。



今を大切に生きよう
そう思ってあの日から生きてきた。


私からしたら目を覚ました日が人生のはじまり、つまり生まれた日になる。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー