「カイ様が想像されているであろうハイビスカスの仲間ではありますが、違う植物です。ローゼルもハイビスカスと同じようにこの国の気候が合っていて、多く栽培されているようです」
得意げに解説してみるが、アリシアも初めて『ハイビスカスティー』という名前を聞いた時は、南国に咲くあの大きく真っ赤な花を想像していた。
本で調べて違うものだと知った時は結構ショックを受けたものだ。
「ほう、そうなのか。知らなかった。どのような味がするのか気になるな」
「──お待たせ致しました。よろしければ試飲されますか?」
カイの呟きがちょうど戻ってきた店員にも聞こえたらしく、アリシアに紙袋を渡した後彼はそう提案してきた。
「あちらのスペースはカフェになっておりますので、ゆっくりお寛ぎ頂けますよ」
「おお、ならばそうさせてもらうとしようか。アリシア殿も長いこと歩き回って疲れただろう?少し休もうか」
「はい。ではお言葉に甘えて」