「ハーブティーならこちらの棚にございます。紅茶に比べると種類は少ないかもしれませんが」



 示された方を見ると、確かに種類豊富な紅茶と比べると数は少ないが、かなり充実したドライハーブが並んでいる。

 ミント、カモミール、ローズ……

 定番のハーブに並んで、アリシアの探していたハーブが一際大きなスペースをとっているのを見つけた。



「あ、あった。やっぱりこっちの方が安くで売っているのね。……すみません、これ200グラムほど頂けますか?100グラムずつ分けてください」


「かしこまりました」



 店員は缶を手に取り、「少々お待ちくださいませ」と言って店の奥に消える。



「アリシア殿、何を買ったんだ?」



 カイが興味津々といった感じで棚をのぞきこむ。



「ローゼルティーです。知り合いから頼まれていたので」


「ローゼル?」


「はい。酸味が強いのが特徴のハーブティーで、別名ハイビスカスティーとも言います」


「ハイビスカス……って、あのハイビスカスか?」


「いえ」



 恐らく彼が思い浮かべているのは、城にも咲いていた色とりどりのあのハイビスカスだろうと思い、アリシアは首を振った。