「わあああああ……!」



 中に入るなり、アリシアは目を輝かせながら歓声を上げる。

 外観と同じく広い店内。所狭しと並ぶ缶に入った様々な茶葉。

 アリシアが普段茶葉を仕入れている店は小さく、実物を見ずに注文するスタイルなので、このように種類豊富な茶葉が売られいるのを見たのは初めてかもしれない。



「カイ様、ここすごいです!!」


「俺にはどれぐらいすごいのかわからないが、アリシア殿が今までで一番良い表情をしているのはわかるな」



 いつもよく飲む紅茶の茶葉もあれば、初めて見るブレンドもいくつもある。

 ドライフルーツがブレンドされたものだけでも種類がいくつもあり、夢中で見ていると、店員らしき男性が近づいてきて恭しく頭を下げた。



「いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか」


「ハーブティーを探しているのだけど……」



 グランリアでは、ハーブティーはお茶というより薬という扱いで、紅茶と一緒には売っていないことが多い。

 先ほど「ハーブティーが見たい」というアリシアに老女が迷わずこの店を勧めてきたが、この店にはきちんと置いてあるのだろうか。

 若干の不安を感じながら問うアリシアに、店員は安心させるように微笑んだ。