アリシアの質問に、老女は「それなら……」と即答する。



「ここを出て右に曲がって少し歩いたところに紅茶屋があるよ」


「ああ、そこなら俺にも多分わかるぞ。行こうアリシア殿」


「あ、はい。あの、アクセサリーありがとうございます。大切に持って帰りますね」


「またこっちに遊びに来る機会があったら来ておくれ」



 アリシアはもう一度お礼を言い、カイに手を引かれながら店を出た。


 先ほどの店をはじめ、色々な店が軒を連ねる小路を歩く。人々の明るく騒がしい声や漂う潮の香りが、思わずスキップでもしたくなるような楽しげな雰囲気を作り出している。



「さっきの店の女性、カイ様のことを知っていらっしゃる様子でしたが、面識がおありだったのですか?」


「まあな。この辺りにはちょくちょく顔を出しているんだ……っと恐らくここが言っていた紅茶屋だな」



 そう言ってカイが立ち止まった店は、想像していたより大きな建物だった。潮風に混じって芳しい紅茶の香りもしてくるので間違いないだろう。

 カイもこの店に来るのは初めてとのことで、少しドキドキしながら中に入る。店内は、外よりさらに強い紅茶の香りがした。