綾が待っている隅へと戻ると、ようやくホッと息を吐き出すことができた。


「早人すごいじゃん!」


綾が拍手をして迎えてくれた。


俺は照れ笑いを浮かべながら汗を手の甲でぬぐった。


「あんな得があるなんて知らなかった」


「昔から従兄に教えてもらってたんだ。どこかで披露する気なんてなかったけど、こんな所で役立ったよ」


俺は照れ隠しにそう言った。


「評価5ってすごいよ早人」


目を輝かせてそう言ってくる綾に、俺は左右に首をふった。


そんなに褒められるとなんと言えばいいかわからなくなってしまう。


俺は綾から視線を外して、残っている1人に目をやった。


残っているのは5組の星斗だ。


星斗はさっきから手の中に何かを握りしめていて、しきりにそれを確認している。