やって来た鬼は俺たちを見てニヤリと口角をあげて笑う。


口の端から見える牙が恐ろしい。


「お前ら、自由時間だからって自由にしすぎだぞー」


軽い感じて声をかけて来るが、その目は笑ってはいなかった。


俺は綾の手を握りしめる。


鬼は大きな足音と共に近づいてくる。


背中に汗が噴き出していくのを感じる。


だけど、逃げる事はできない。


仮に冷凍庫の中に逃げ込んだとしても、死体に紛れていることなんてできなかった。