「真琴くん…なの?」

「俺は梓をはじめて見た時に気づいたけどね」


…運命というのは
本当に存在するんだろうか

もし本当にそれがあるのなら

私と真琴くんとの出会いは

きっと

いや間違いなく

運命なのではないでしょうか


私の大切なあの記憶と、目の前にいる大切な同居人を重ねる

もしかしたら私たちは出会うべくして出会ったのかもしれない

なんて、私には到底似合わないロマンスを勝手に感じながら
真琴くんの黒い定期入れをぎゅっと握った


「…何も言えずにいなくなってごめんね」

「結構悲しかった。だからその分」



真琴くんが両腕を広げる

「なぐさめて」

……。

貴様はよくそうも恥ずかしげのあることを簡単にできるな

なんて考えながらも寄っていく私は重症だ


「おいで梓」



「自転車…壊してよかったかも」

真琴くんの目の前に立ち、そう呟いた


「うん…梓でよかった」

そう呟き、私の体を抱きしめる同居人

真琴くんで…よかった