言わなきゃ
伝えなきゃ

「好き」

「…え?」


今度は私の番だ

ここにいたいと思うのは

フランスに行きたくないと思ってしまうのは

あなたがいるからだ


「私も真琴くんが好き。真琴くんと一緒にいたい」

あの家に、帰りたい

「梓…」

「私、フランスには行かない」


真琴くんだけじゃない

結花も蒼馬もバイト先も

ここにはたくさんの思い出がある

私の大切なものがたくさんある


もちろんお母さんもおばあちゃんも大好きだ

だけど

全てを捨てられるほど私は潔くない


「梓」

今度は真琴くんが両腕を開いた

引き寄せられるのではない

なるほど

私から来いと

いきなりレベル上がるな


でももう躊躇うことも出来ず、その腕の中にダイブした

真琴くんの手が回ってくる


「本当?あの家にいる?」

「いるよ。真琴くんのそばにいる」