「梓…」

しばらくして、真正面に向き合った真琴くんがいつもより低い声で私の名前を呼んだ

「…ごめん」

…え?

「さっきはカッコつけて梓の気持ち考えろとか言ったけど…本当は…俺が、梓にフランスに行って欲しくない」

…真琴くん

「…あの家にいて、俺のそばにいて」

真琴くんの手が私の両手を握る

そして真琴くんのなんとも言えない熱を帯びた目が、私を真っ直ぐに見つめる


「梓が…好きだ」



ぶわっと胸の中に何かが広がった


「え…?」

「梓のことが好き」

真琴くんの熱を持った声

そして少し細めた目で私を見る

…胸がグッと詰まる


蒼馬に言われた時とは違う

ルイくんに言われた時とも違う

この感覚、この感情、
共鳴する、私の熱


私の好きな人は…

私のことが

好きらしい