「…嫌…じゃない」


心の底から一緒にいたいと望む人だから

心の底から好きだと思える人だから

嫌じゃない

嫌なわけがない


「…言ったな?」

真琴くんの優しい目が少し光る

私の腕を掴んでいた片方の手が背中にまわる

そのまま腰ごと引き寄せられる


いくら人がいないとはいえ外なのに

なんてちょっと戸惑う僅かな気持ちも、すぐそこの真琴くんの目を見ればまあいいかと思えてしまう

真琴くんの目が…熱を持った目が

私を捉えて離さない


再び合わさる唇

どうしてキスするんだろう

私のこと…好いてくれているんだろうか

いくら真琴くんでも嫌いな人とキスはしないよね


フランス…

ルイくん

お母さん

会社


そして

真琴くん


何を…どうすればいいのか

私自身はどうするのが正しいのか

何もわからない

私がフランスに行けば…お母さんもおばあちゃんも安心するだろう


……でも

今目の前にいるこの人を…


心の底から失いたくないんだ