そう思ったのに

腕は背中に回らず引き寄せられ続け、そのまま

体ではなく、唇が合わさった


「!」

目を大きく開くと

真琴くんの綺麗な顔がすごい近くにあって

長いまつ毛のかかった瞼が閉じている


短くはないその時間

ゆっくり彼の唇が離れる


……



「え…な」

「…今のは…梓が悪い」

目をパチパチさせる私のおでこと、珍しく赤い顔をした真琴くんのおでこがあわさる

「…ま、ことく…」


な、何が起こった?


いまの

き、
きす?

きすって…キス!?

は、はじめての…きす


「…ごめん…嫌だった?」

…嫌…な、わけが……

ああもう…その聞き方は…ずるい