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「それじゃ、またね。マネージャーさんが迎えにきたら家の鍵は閉めておいて。また今度会った時に鍵返してくれればいいから」
「うん…」
あの後、なぜか真琴くんとルイくんの空気が悪くなったので私たちは退散することにした
「それじゃ…」
「あ、梓」
靴まで履いてさあ出ようとしたところで改まった声に呼び止められる
「梓…本当は昨日言うつもりだったんだけど…その」
ん?
「…急でごめん…あのね」
何?
ルイくんがいつになく真面目な目を向ける
「…フランスに行かない?佳奈のところに」
……え?
「…昨日の今日で言いづらかったんだけど…やっぱちゃんと伝えたほうがいいかなって思って。
エマの体調は順調に回復してるんだけど、エマはもう引退してもいいかなって思ってるらしくて、佳奈に後を継いで欲しいんだって」
…え、は
待って、何の話…
「日本進出もして、ブランドもかなり大きくなってこのまま佳奈が社長になるかもしれない。そしたら佳奈はもっと長い間、下手したらずっとフランスにいなきゃいけないかもしれない。でも日本には梓がいる。だからこのままだと佳奈はきっと仕事に専念できないと思うんだ」
フランス…?
「簡単な話じゃないのはわかってる。でもこのまま国を超えた状態で暮らしててもいつか限界が来る。だから梓も一緒にフランスに引っ越しちゃえば佳奈も気兼ねなく仕事に熱中できる。佳奈のためにもそれがいいかなって」
「…」
…フランスにに行く?
ここを離れて
お母さんの元へ…行く…?