「ルイくん…とりあえず顔あげて」

「…梓」

「私は、大丈夫だから」

なんて言いながらも

無意識に真琴くんの服を結構な力で掴んでいることに気づいたのはだいぶ後だった


「…あの後…探し回ったんだけど、見つけられなくて…ちゃんと謝んなきゃって思ってて…佳奈の大事な娘なのに…僕にとっても大事な人なのに傷つけちゃって…それで」

ルイくんの綺麗な顔が歪んでいる

目は泳ぎながらも真琴くんと私を交互に見ている

しゅんと、まるでしぼんだ風船みたいに力なくボソボソと言葉にもならない言葉を紡ぐ

髪の毛ボサボサだし、隈もできてる

いっぱい、悩んでくれたんだろうか


……よし。

「…ルイくん。朝ごはん食べた?」

「…え?」

私の思わぬ返答に
ルイくんの素っ頓狂な顔と声が返ってくる

「…たべて、ないけど…」

「ふふ」

私の反応に真琴くんもこちらを見た