洗面所に入った瞬間

すとんと地面に座り込む

「…ーーっ」

くそ

怒りやら葛藤やらでむちゃくちゃになってる

あー死にそう


自分の顔を両手で覆って深く息を吐く

「勘弁してくれ…」


ーーー


梓が風呂に入ってる間もずっと悶々と頭を悩ませた

しばらくして、ガチャという扉の開く音に再び体を固くする


「真琴くん…お風呂ありがとう」

まだどこか元気のない梓が作ったような笑い方でそう言う

「お、う」

梓の格好を見て

なんでやねん
とツッコミたい気持ちを抑えて目を逸らす


昨日の夜同様、大きめのTシャツと短いズボン

あ、何?もう開き直ったの?

前はその格好で俺の前に来るの恥ずかしがってたのに

昨日から普通にその無防備な格好で出歩くようになった

心を開いて頂いたのはいいけど、男子高校生的にはやめてほしい

…大きめのTシャツから見える鎖骨と、さっき自分がつけた跡

ん"ッと何かを飲み込んで平静を装う


「…上着は」

「私別に寒くない」

「そういう問題じゃねぇ」

純粋無垢な同居人に自分の上着を投げる

「頼むから羽織ってろ」

俺でもちょっと長いくらいの上着だから梓が着れば足も多少は隠れるだろ

キョトンとしながらもその上着に腕を通す梓

はぁとため息をつく