家に帰り、とりあえず大きめのタオルで梓を包む

梓は何も言わず、ただ下を向いて、俺の服を掴む手を離さなかった

「…梓」

「……」


いつもの席に座らせてその前に屈んで梓を見上げる

「梓…何があったのか…ゆっくりでいいから教えてくれないか」

「……うん」

梓の白い頬を雨か涙か、水がつたう

その水を親指で拭い取り、梓の目にかかった髪を退けた


「電話を切った後、ルイくんが…私を好きだって…言って…結婚がどーのって言い出したから断ろうとしたんだけど」

梓の拳に力が入る

「…ルイくんの…顔とか声が怖くなって…逃げようとしたら…つ、捕まってテーブルの上に倒されて」

ぎりっと唇を噛む

「…それで…首に…」

え、くび…?


梓が自分の首を触った



鎖骨の上らへん

見慣れない赤い跡


それを見た俺はピキッと血管が浮き出る感覚を覚えた

「…真琴くん…?」

「…え?」

「ね、大丈夫?すごい怖い顔してるけど」

そりゃするだろ…

他の男がつけた跡残ってんだぞ


今すぐ消したい
跡も、梓の記憶も