君に愛を捧げたあの日から。




あなたに近づかなければ、



あなたに出会わなければ、



あなたという存在を知らなければ、



何もかも上手くいっていたのに...。






明日は高校の入学式。




明日に備え、今日は夜9時に寝た。




朝起きると、私の高校生活の始まりを分かってのことだろうか。




ベットの横の小さな机には一通の白い手紙。




『お母さんかな…?』




もしかしたらお母さんが朝早くに来て入学祝いの手紙を置いてくれたのかも。




私は今、一人暮らし。




だけど鍵を渡してあるからあり得るとその時までは深く考えてなかった。




『わざわざ手紙書いてくれるなんていいお母さん…!』と感心までしていた。




その真っ白い手紙の封をあけ、二つを折りにされた紙を開いた。





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私へ。




今から言うことは、
信じれないかもだけど、信じて欲しい。



柴田 凪という人には関わらないで
ましてや恋なんてしては絶対にだめ



恋をしてしまうとあなたはきっと苦しい想いをする。



私がそうだったみたいに...。



あなたにはそうなって欲しくないから、私はこの手紙を書いたの。



お願い。
私の分まで幸せになって。





未来の私より



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『んんん?イタヅラ…?』




未来から手紙が届くのは架空のお話だと思っていた。




少女漫画とか小説とか。




私もそういう話を読んだことがある。




未来の私からの手紙が届いて、その人を死なせないでっていう少し違う話だけど。





『こんなこと有り得るわけないよね。有り得るわけない…よね。』




私は漫画みたいなことが起こればいいなという期待と現実的に考えて有り得ないと双極的な2択に悩まされていた。




だけど2:8の割合だ。




その頃はあまりこの未来の私からのメッセージを真剣に受け止めていなかった。





少し考えてみたけど、よく分からない。




私はこの手紙を信じるべきか信じないべきか。




考えているとき、机にあった時計を見るともう7時近くになっていた。





『ヤバッ。早く用意しないと入学式に間に合うわない.....!』





私は考えるのをマルっきり止め、準備をすることだけに集中した。





茶色のロングのヴィッグ
ノーメイク。




ある事が理由で変装する。




「いってきまーす。」




そういえば誰もいなかった。




私は親元から離れ今日から一人暮らしを始めた。










まだ慣れていないせいか、つい言ってしまった。




私はドアの鍵を閉め、家を出た。




高校の校門まで来ると、桜が満開で少し心地の良い風が吹いていた。




「えぇ、では橘 紅莉。」


『はい。』




入学式の最中、私は席を立ち上がり返事をして前へ出た。




首席だ…。





"何がなんでもトップでないといけない"





それが父、兼・橘組 総長の教えだった。