自分の気持ちを伝えた高3の夏。

私たちは、恋人同士になった。

麗央と一緒にいると凄く楽しくて、笑いが絶えない。

高校卒業して、大学をでて社会人になっても私たちはいつも一緒にいた。

こうして、結婚式を挙げられるまでに。

「桜、もうすぐ“あの2人”が来るんじゃない?」

とお母さん。

あの2人とは、りくと美咲のこと。

引っ越しして以来、まだ1度も会えていなかった。

「会えるの楽しみ〜! どんな姿になってるんだろう」

想像するだけでも、とてもワクワクする。

社会人になった今でも、2人とは連絡を取り合っている。

お互い仕事が忙しくて前よりは頻度が減ってしまったけれど、電話できる日はとっても楽しくてついつい長電話してしまうぐらい。

それに、この前、美咲との電話でりくにプロポーズしてもらったと話してくれた。

来月あたりに、籍を入れるんだって聞いて私も嬉しい気持ちになった。

あの頃は、2人の幸せを上手く願えること出来なかったけれど、今では、2人の幸せを心から願っている。

「なぁ、桜。あいつが来たら本当のこと伝えるのか?」

周りの人達に聞こえないように、こそっと麗央が話す。

「うん。伝えるつもりだよ。もう、あの日のことを後悔したままでいたくないから」

だから、今日で終止符を打つ。

りくを好きだった私に“さよなら”をしたいから。