「す、すみません。もう少し探ります」

 俺は、慌ててそう言うと電話切った。
もう少し探れと言われてしまった。
 そう言われても限界があるんだよなぁ……。

 これが神崎さんみたいなイケメンなら
キャバ壌を取り入れたりして情報を聞けるのだが
 自分は、この通り普通だし。口も上手くないから
情報を聞き取るなんて出来る訳がない。
 警察じゃないんだからさ……。
ハァッとため息を吐きながらゴミ袋を捨てた。
 この日の仕事、それで終わった。

 翌日。俺は、あくびをしながら起きると
朝の新聞配達のバイトをした。
 朝は、新聞配達。大学に行き帰りは、神埼さんところの
お店でバイトするのが日課だ!
 今は、それプラス調査のキャバクラのボーイだから正直眠い……。

 講義を聞きながらウトウトとしていた。
早く終わらせて普通のバイトに戻したい。
 ラーメン屋は、辞めるはめになったから新しい
バイトを探さないといけないし……。
 あぁ……ダメだ。意識が遠退いて行く……。

「おい、立花。立花ってば起きろ!!」

 俺は、ハッとして慌てて起きた。あれ……?
いつの間にか講義が終わっていた。
 席は、数人しか居ない。すると呆れたように
隣の奴がため息を吐いてきた。

「まったく……講義中爆睡するなよな?
 教授とかにバレないかヒヤヒヤしたぞ……こっちは」

コイツは、友人の松本智紀(まつもとともき)
 同じ教育学部に通っている。ちょっとお調子者だが
根はいい奴で仲がいい。

「ごめん、ごめん。最近バイトが忙しくてさ」

 「バイトって喫茶店の?あれ?ラーメン屋だっけ?」

「いや……ラーメン屋は、辞めてさ。
今は、違うバイトをやっているんだ……」

 詳しくは言えないけど。松本には、俺が喫茶店兼
探偵の助手みたいなことをしてるのは言っていない。
 秘密にしているのもあるが、下手に興味を持たれても
困るからだ。お調子者だし。

「ふーん。なぁなぁ、ところでさ。
お前に会わせたい奴が居るんだけど、今日もバイト?」

「会わせたい奴?悪いけど……今日もバイトなんだよね」