じゃあ……やっぱり他殺だったんだ!?
 良かった……自殺なんてする訳がないと思っていたし
だったらストーカー説も嘘になる。
 エレナちゃんにも報告が出来るぞ。

「じゃあ早速瀬戸さんに伝えましょう!?
 これは、自殺じゃなくて他殺だって。
そうしたら調べ直してくれますよ!」

「待て立花。それは、まだダメだ。
 確かに他殺になったが、犯人が見つかってない。
それに“華の雫”は、赤薔薇会が開発した薬だ!
 また世に出ていない薬でもあるし
下手に警察に言えば情報が漏れて犯人まで
消される可能性もある。
 とにかく自殺にしろ他殺しろギリギリまで
黙っておいた方がいい……報道にもだ!」

「えっ……赤薔薇会が!?」

 ここにも赤薔薇会が潜んでいたのか?
犯罪には、必ず絡んでいる組織に俺は、複雑な気持ちになった。

『あの銀行強盗も“華の雫”が絡んでいたそうよ?
 だから電話に出た直後犯人がおかしくなったのね』

「なるほどな。それだと辻褄が合う。
 つまり俺らは、まんまと手のひらで転がされていた訳だ」

えっ……?
 確かに銀行強盗は、赤薔薇会の仕組んだことだと
神崎さんが言っていたけど……まさか。
 こんな風にまた絡んでくるなんて。

『私の方からも情報をもっと調べておくわね。
 赤薔薇会が絡むとなるとそれなりに時間もかかるから』

 リカコさんは、そう言うとテレビ電話を切った。
静まり返る部屋。神崎さんは、深いため息を吐いていた。
 そういえば思っていたんだけど、伊波さんの事件って
赤薔薇会が絡んでいるんじゃあ……?

 だから神崎さんは、あんなに赤薔薇会を意識して
敵対心を燃やしているのだと感じた。

「あの……神崎さん」

「うん?何だ?」

「あ、いや……何でもありません。
 ちょっと驚いちゃって……色々と」

伊波君さんのことを聞きたかったけど言えなかった。
 弟の伊波君に黙っていてと言われていたし
 何よりそれを話すと神崎さんを苦しめてしまいそうで
怖いと思った……。