「自宅捜索の結果。伊藤さんの自宅にストーカーとして
 コピーされたはずの脅迫文の下書きなどが
何枚か発見されたんです。
 しかも伊藤さんは、麻薬の成分も発見された。
『辻エレナにストーカーをしたあげく麻薬を所持。
 麻薬の副作用か又は、バレそうになり自殺した』と
結論が出されたようですね」

 瀬戸さんは、残念そうにそう言ってきた。
麻薬って……伊藤さんが!?

 「どうして!?伊藤さんは、エレナさんの恋人だったし
それに依頼者の代理人だったんですよ?
 そんな人がストーカーみたいな事する訳ないじゃないですか」

 「上の結論は、それを利用して辻エレナに
近寄ったんじゃないかと言われているみたいだね。
 麻薬の事もあり精神状態も普通じゃないと
結論が出されたらしい……」

……そんな訳がない。
 だってストーカーの時も伊藤さん凄くエレナちゃんの事を凄く心配していたし。
 こんな事をエレナちゃんが知ったら余計に深く傷つくだけだ。

「あ、でもナイフで刺されたじゃないですか?
 それは、どう説明するんですか?
自殺なら手首とか、首を吊るとかですよね?」

 俺は、必死で他殺の理由ではないかと主張した。
そうだよ。自殺にしては不自然過ぎる。
 きっと誰かが伊藤さんを嵌めたんだ……。

「いや……他殺にしては、不自然だ!」

「な、何でですか!?」

神崎さんに逆のことを言われて驚いた。
 何でだよ?自殺の方が不自然じゃないか……。
すると神崎さんは、ナイフを握った。

「いいか?もし他殺で相手に刃物を向けて刺すとする。
 そうなった場合は、こうやって刃の向きを下にするだろ?
だが伊藤さんに刺さったナイフは、上向きだった。
 つまり自分からナイフを下ろすようにして腹部を
刺したってことになる」

 刺す真似をして教えてくれたが確かに
自分で刺すにしても刃物を下向きにして刺すのは、難しい……。
 えっ?じゃあ……やっぱり
伊藤さんは、自殺したってことになるのか?
 俺は、信じたくないと思った。
 だが、他に他殺としての証拠もないし……このままだと
本当に伊藤さんがストーカーと自殺をしたことにされてしまう。

 ど、どうしよう……。
その真実に俺は、動揺を隠せなかった。
 すると神崎さんのPCウォッチが反応した。