神崎さんは、何も言わずに伊藤さんに近づき
首筋を手を置いた。脈を測っているのか?

「どうですか?」

「ダメだ。死んでいる」

そ、そんな……!?
 せめて少しでも脈があったら、すぐに救急車に運べば
助かったかもしれないが、どうやら無駄のようだった。
 俺は、ショックで身体がガタガタと震えた。
すると、すぐに警備員達が駆け寄ってきた。

「退いて下さい。何ですか?あなた達は!?」

「探偵の者です。すぐに警察を呼んで下さい。
 彼は、もう亡くなっています」

 神崎さんは、冷静に警備員に警察に電話するように
指示を出した。
 警備員は、動揺していたが、すぐに電話で連絡をしてくれた。

 警察は、知らせを聞いてすぐに駆けつけてくれた。
瀬戸さんも一緒に。
 遺体となった伊藤さんを引き渡していると
その情報を聞いたエレナちゃんとリカコさんが慌てて
こちらに向かってきた。

「伊藤さん!!やだ……そんなの……嫌だ!!」

 かなり動揺しているエレナちゃんは、その遺体を見ると
気絶するように倒れてしまった。エレナちゃん!?
 慌ててリカコさんが抱きかかえてくれたから
倒れずに済んだが気絶をしたままだった。

 あまりにもショックだったのだろう。
恋人同士だったのだし……。
 俺は、何とも言えない気持ちになった。

 俺達は、瀬戸さんに詳しく事情を話して
同行させてもらった。
 まずは、現場の近くに居た人のアリバイを探ることに。
 エレナちゃんは、医務室に運ばれたが代わりに
リカコさんが答えてくれた。

 「私は、エレナちゃんと一緒に控え室に居たわよ。
途中でスタッフが呼びに来たから証人として確認して」

 リカコさんとエレナちゃんは、聞くだけ無駄だろう。
 俺達が離れたのは、数分のことだし
伊藤さんと恋人だったエレナちゃんが殺すとか考えられない。
 すると次にカメラマンの田辺さんの番になった。