「あれ?伊藤さんは、どちらに……?」

「あら、伊藤さんなら。さっき電話に出ながら
トイレに向かって行ったわよ?」

 トイレ!?リカコさんの言葉に俺は、しまったと思った。
何事もないならいいが伊藤さんは、命を狙われている。
 もしここに犯人が居たら彼の身に危険が……。
俺は、慌てて男子トイレにある方に向かった。
 どうか無事で居てくれ……!!

俺達の居るAスタジオのトイレに向かう。
 あれ?居ない?
すると違う方向から何やら騒がしかった。
 どうしたのだろうか?
すると神崎さんから声をかけられた。

「立花。どうした?」

 「あ、神崎さん。実は、伊藤さんが
トイレに向かったらしいのですが居なくて。
 それに向こうから何やら騒がしいですね……」

「行ってみよう。もしかして……」

 すぐに神崎さんも危険を察したのか慌てて向かう。
俺も急いで神崎さんについて行った。
 すると階段の方で人が集まっていた。

「あの…何かあったんですか?」

「それが、下のBスタジオ付近の男子トイレで
人が死んでいたらしいんだ!?」

「えっ…?」

 Bスタジオの男子トイレで殺人事件!?
何故下のBスタジオ?と思ったが、すぐにハッとした。
 まさか……!?
1番最悪な状況が思い浮かんでしまった。

 慌てて階段を使い男子トイレに向かう。
周りは、野次馬の人達で溢れかえっていた。
 俺達は、強引に中に入って行く。
そうしたら本当に最悪な状態になっていた。
 マネージャーの伊藤さんは、腹部をナイフで
刺された状態で遺体となっていたからだ!

 俺は、動揺していた。遺体を見るのも初めてだが
相手が伊藤さんだったから余計に……。
 そんな……少しの間で……。