驚いている俺を見て神崎さんは、ニヤリと笑った。
うっ……エレナちゃんにときめいたことがバレてる。
 何だか恥ずかしくなってきた。

「リカコさんから聞いた。周りに秘密にしているが
雰囲気でバレバレだってさ。お前みたいに」

「うっ……すみません」

 何故か謝ってしまった。別に恋心ではないが
内心可愛いなと思ったのは本当だ。
 まぁ男なんだから……これぐらい仕方がないけどさ
そうか。2人付き合っているのか……。
 意外な組み合わせだなと思った。伊藤さんとか
真面目な感じだし。ちょっと残念な気持ちになったが。

「そうなるとストーカーは、それを知っている可能性が高いな。
 あの脅迫状にそれっぽいことが書いていてあっただろ?」

 それっぽいこと……?
脅迫状の内容を思い出してみる。あ、確かに。
 犯人が言っていたあの男って伊藤さんに対してだったんだ!?
 あれ?それなら俺が代わりってことは?

「だとしたら犯人は、伊藤さん狙い!?」

 「その可能性が高いかもな。伊藤さんは、
警戒の強い人だからスクープされないように周囲にも
かなり気をつけていたらしい。
 内部には、気づかれていたみたいだが……そうなると
犯人は、何処かでその情報を手に入れたか
また内部の犯行か……」

 内部に犯人が……!?
 神崎さんの言葉に驚いたが、確かに
そう考えた方が妥当だろう。そうなると誰が?

「ただの脅迫ならいいが。本当に命を狙っていたら不味い。
 お前は、辻エレナだけではなく、伊藤さんにも
目を配ってやれ。俺は、瀬戸に言ってこっそり
警備をしてもらえないか伝えておく」

「は、はい。分かりました」

 これは、思った以上に大変なことになってしまった。
内部の犯行だと警備しにくいからだ。
 当たり前に近くに居る人だと警戒されにくいため見逃しやすい。

 神崎さんが瀬戸さんに電話をしている間に
俺は、控え室に先に戻った。取り合えずエレナさんと
伊藤さんから目を離さないようにしないと……。

 控え室に戻ると居たのは、エレナちゃんと
リカコさんの2人だけだった。あれ?伊藤さんは?