「あなたは、見ない顔ね?」

「あぁ、私のアシスタントの立花ちゃんよ!
 で、あっちが新人モデルの神崎ちゃん。
今日は、見学に連れて来たのよ」

 俺と代わりリカコさんが自己紹介をして説明してくれた。
 二階堂アユカは、怪しむように……こちらを
ジロジロと見てきた。もしかして気づかれたか?
 内心ビクビクしていると彼女は、フンッと
そっぽを向いて立ち去って行った。

 俺は、驚いて何も言えなかった。怖かった……。
随分とエレナちゃんとタイプの違う子だな。
 可愛いのに性格がキツそうだった。

 「立花さんすみません。あの子…普段から
あんな感じなんです。 特にエレナをライバル視していて
何かあると突っかかってくるので」

伊藤さんが代わりに謝罪をしてくれた。
 気にしないで下さいと答えながらも芸能界の
裏の顔を見たように感じた。

 それから無事に撮影が終わると
控え室で休憩をする事になった。あ、そうだ!
 待っているのも何だし何か飲み物でも買って来よう。
自分も喉が渇いたし……。

「あの…良かったら飲み物を買ってきましょうか?」

「じゃあ私、オレンジジュースがいいわ。
果汁100%のやつ」

「はい。分かりました!」

 エレナちゃんの注文に返事をして控え室から出た。
飲み物を買うついでに周りを警備でもしよう。
 まぁ、スタジオなら安心だと思うが何があるか分からないし。

 すると神崎さんも一緒に行くと言い出した。
それならと一緒に買いに向かった。
 自販機まで行くと俺は、コカ・コーラで
エレナちゃん用に果汁100%のオレンジジュースを購入。
 神崎さんは、自分で缶コーヒーを買った。

 すると神崎さんは、缶の蓋を開けながら
「そういえば知っているか?辻エレナとマネージャーの
伊藤さんって人付き合っているらしいぞ」

「えぇっ……!?」

 あまりにも衝撃で持っていたコカ・コーラを
落としそうになってしまった。危ない、危ない。
 だが、マジか!?エレナちゃんとマネージャーである伊藤さんが……。