やっぱり昨日のこと気にしているのかな?
神崎さんのお父さんが凄い人だったとは驚いた。
 まさか警視総監とは……。

厳しい人だったけど。嫌な感じはしなかった。
 どちらかと言えば俺や神崎さんを心配して
忠告してくれたように感じた。
 赤薔薇会……確かに思った以上に謎が多い。
自分も散々怖い目に遭っているし、これからも
危険になる可能性は高い。でも……。

言われた通りに辞めた方がいいのかもしれないけど……。
 だからと言って神崎さんのことは、何故か
放っておけないと思う自分も居た。
 どうしてかは分からないけど……。
俺は、ハァッ……と深いため息を吐いていると
誰かに肩をポンッと叩かれた。

「わぁっ!?」

「おわっ……びっくりした!!何だよ……。
挨拶しても返事ないから肩を叩いただけなんだけど」

「あっ……ごめん。ちょっと考え事をしていて」

肩を叩いてきたのは、松本だった。
 びっくりした……。
俺は、驚きながらも彼に謝った。

「何だ?また悩み事か?それともバイト疲れ?」

「う……ん両方。今日は、臨時休業でバイト休みだからさ……」

俺は、背伸びをしながらそう言うと
松本は、マジで!?と言いながら目を輝かせてきた。
 その喜びようにまた驚いてしまった。

「あ、じゃあさ……今日暇なんだよな?
 この間の時に話した奴を紹介したいんだけど……いいか?」

この間?あ、あぁ……紹介したいって言っていた。
 一瞬何だっけ?と思ったがすぐに思い出した。
そういえば面白い奴だとか言っていたっけ……。

「そうだね……いいよ」

俺も松本がそれほど紹介したい奴ってどんな人か
興味が湧いた。いい奴なら会ってみたい。
 いつもならバイトでなかなか松本とも遊べないし
たまには、こういうのも悪くないと思ったからだ。