「おい。一条……何故立花まで呼ぶんだ!?
話なら俺だけでいいだろう?」

「話ならそれでいいのですが。
本部……いや警視総監が直接お会いしたいそうです」

け……警視総監だって!?
 警視総監って警察の中でも2番手にトップクラスの
偉い方ではないか。何で俺なんかに?
 意味が分からずにオロオロしていると神崎さんは、
深いため息を吐いていた。

「あの方は、何を考えているんだ?」と。
 それは、こちらが聞きたい。
マジで?行かないといけないのか?

「ですのでご同行をお願いします」

「は、はぁ……」

 嫌だと言える訳でもなく俺と神崎さんは、
そのままパトカーに乗せられ警視庁に連れて行かれた。
 ど、どうしよう……緊張する。

パトカーなんて初めて乗るし
 それに一体俺を含めてどうする気なのだろうか?
まさか、疑われたりしないよな?
 理由も分からないため余計に不安になっていた。
だって警視総監直々なんて普通おかしいだろ?
面識だって無いのに……。
 隣をチラッと見るが神崎さんは、黙ったままだった。
腕や足を組み落ち着いている。

元刑事だったから、行き慣れているからかな?
 不思議に思っていると警視庁に着いたようだ。
 駐車場まで行くと降ろされた。そして
中に入るとそのままエレベーターに乗り最上階に。
 凄い……本物の警視庁だ!

何もかも初めてでドキドキして余計に緊張してしまう。
 最上階に行くと男性秘書らしき人が居た。
頭を下げてきたので俺は、慌てて頭を下げた。

「どうぞ。こちらに……」

一条さんから男性秘書に引き渡されると
警視総監室に案内された。いよいよだ……。
 ドアの前まで来ると男性秘書がノックをする。

「神崎桃哉様と立花駆様をお連れしました」

「……入れ」

低い声が聞こえてきた。
 男性秘書がドアを開けて中に通してくれた。
心臓が飛び出しそうになるぐらい緊張しながら
 中に入るとその人物に驚かされた。
この人が……警視総監?