俺は、気づかれないように篠田におつまみの
チーズを持って行く。するとマヤさんは、篠田に
おねだりを始めた。

「ねぇマヤ。最近欲しいブランドのバッグがあるの。
 篠田さんならきっとマヤのお願い叶えてくれると
思うんだけどなぁ~」

「よしよし。いくらだ?
 今度大口の取り引きをするから叶えてやれるぞ」

「本当?マヤ嬉し~い」

 俺は、それを聞いてピクッと反応した。
大口の取り引きだと?
 それって近々薬の取り引きでもやるのか?
下手に反応するとバレてしまうので、必死に冷静を装い
 チーズの入った小皿を置いた。
すると神崎さんが俺を呼んできた。

「おーい。そこのボーイ。ちょっといいかな?」

「は、はい。何でしようか?」

「水を持ってきてくれないか?あと俺もチーズ」

「かしこまりました」

 まだ話を聞きたかったのに神崎さんったら
何でこんな時に注文を……。
 しかしボーイをやっている以上は、それに従わないといけない。

俺は、慌てて水とチーズを取りに戻った。
 トレイにコップに入った水とチーズが入った
小皿を受け取ると神崎さんのもとに。しかし
 神崎さんが受け取ろうとした瞬間何故か神崎さんは、
手を離してしまった。

ガッシャン割れた水が飛び散った。
えっ!?俺は、驚いたが同時に慌てた。

「す、すみません……すぐに片付けます」

 慌てながら割れたコップを拾うが……あれ?
今のわざとだよね?持った瞬間手を離したし。
 手が滑っただけ?
するとミキは、慌てたようにハンカチを取り出して神崎さんを拭き始めた。

「まぁ大変。服に水が……これだと足りないわね。
 すぐにタオルを持って来るわ」