その内に酔っぱい機嫌が良くなる篠田だった。
この隙に何か情報が手に入らないかな?
 俺は、様子を伺っていると入り口の方で何やら
女性の方が騒いでいた。誰か来たのだろうか?

不思議に思って見ていたら……えっ?
 何と神崎さんが現れた。えぇっ?何で?
どうやら客として来たようだった。
 イケメンの神崎さんの登場に周りのキャバ壌の人達は、
キャアキャアと騒いでいた。

まぁ、そうなるのも当然だろう。
 普段は、ワイシャツにズボンと腰までのエプロンしか
見たことがなかったがスーツを着ている。
 高級そうな雰囲気の黒いスーツで高身長で
モデルのようにスタイルがいいからキマッていた。
後ろ髪もほどいていた。

席に案内されて座るが、丁度篠田と席が近い。
 もしかして近くで監視するために来たのだろうか?
俺が居るのに……と思ったが頼りないと思ったのかもしれない。

 すると俺と目が合った。ニヤリと笑うと
俺を手招きしてきた。えっ?来いって?
 意味が分からなかったが呼ばれるから向かう。

「何でしょうか?」

「ボーイ。ここで1番高い酒を持ってきて。
そうだなぁ……指名は、No.1がいい」

「えっ?あ、はい」

まさかの注文に驚いてしまう。ドンペリ!?
 しかも指名がNo.1って……大丈夫だろうか?
言って悪いがあのお店は、そんなに儲からないのでは?
 いくら探偵事務所を副業でやったとしても。

俺は、不安になりながらも神崎さんを見ると
クスッと笑っていた。
 まるで見透かされている気分なった。
うっ……と思ったが我慢して頭を下げて戻る。

しばらくしてドンペリを持って行くとすでに
No.1であるミキさんが席に着いていた。
 何やら盛り上がっている。するとそれを見て
気に入らなくなった篠田が
「俺にもドンペリ追加だ!」と豪語してきた。

周りは、それを聞いてざわついていた。
 えっ……またドンペリ!?
もうすでに数百万にはなっているはずだ。

「は、はい。かしこまりました」

俺は、慌てて返事する。
 篠田は、ギロッと神崎さんを睨み付ける。
対抗意識を持ったようだった。