「…もう、怒ってねーよ」

「本当?」

「あぁ…。だから、ちゃっちゃとメシ食えって」

「はぁい」


俺がムカついていたのは、さっきの休み時間の出来事について、だ。


美登の友達数人が美登を囲んで談笑していた件。


会話こそそんなに聞こえなかったものの、美登の顔が見る見る間に暗くなっていくのを見て、これは危険だ、と思った。



泣く…?


そう思ったのに、美登は次の瞬間、パッと笑顔を作って話題に加わり溶け込んだんだ。


…そう。


無理矢理の、笑顔作って…。


「なに、やってんだか…」


そう呟いた俺の手は、ぎゅっとキツく握り締められていた。