昼休み、いつも通りの光景。
俺はこいつ…花井美登(はないみどり)の前の席を陣取って、購買で勝ち取った焼きそばパンとメロンパンとアロエジュースが入った袋をガサガサ弄っていた。


そんな時に受けた問い掛けに、俺は即、


「あ?…別に?」


と返す。
それでもまだ言いたいことがあるのか、美登は毎日持参している弁当箱のふたをパカリと開けながら、俺の方をもう一度見てくる。


「…やっぱり、怒ってる」

「なんで、そう思うんだよ?」

「だって、メロンパンから先に食べようとしてるもん」

「…なんで、そこで分かるんだか」

「シロちゃんとは、付き合い長いからねぇ」


にっこり


そんな風に微笑まれたら、さっきまでの怒りも溶けてなくなってしまう。