(今日もいるかな…)


階段を一段降りるたびに、心臓のドキドキが増す。



2階の踊り場を過ぎると、キュッキュッ…と靴が擦れる音が聞こえた。


(あ…いた…!)


ちょっと髪を直しながら階段をすすみ、見えた後ろ姿に声をかけた。


「九重(ココノエ)くん、またダンスの練習?」


激しく動いていた身体が止まり、

顔がゆっくりこちらを向く。


「ああ、佐倉か、そうだよ」


汗だくで振り向いたのは、わたしとおんなじくらい
地味、に見える男の子。


でも…