蛍と伊吹くんが楽しそうに話しているのが見えた瞬間……うまくいったんだとすぐに悟った。



門奈くんと顔を合わせ、2人して思わずニヤける。

どうやら門奈くんもわかったらしい。



2人に気づかれないようにそーっと近づき……私と門奈くんは口パクで「せーの」と言ったあと、「ただいま!」と私は蛍の肩を、門奈くんは伊吹くんの肩を後ろから掴んだ。



「び……っくりしたー……」

「心臓止まるかと思った」



本気レベルで驚く蛍と伊吹くん。



よく見てみると……ひと2人分離れて座っていたはずなのに、蛍と伊吹くんの間には数センチくらいしか空いていない。



その距離が、2人きりだった時間にあったことを物語っていた。



「あのー……実はですね……」



私は蛍の隣に、門奈くんは伊吹くんの隣に座ったと同時に……蛍が口を開いた。