「だいぶ落ちついてきたな。そろそろ、ここ出るか」



そう言って起き上がろうとする瀬那先生。



私は瀬那先生のネクタイを思わず掴んで、自分の方へと引き寄せた。



「もし、私が好きって言ったら……先生困る?」



私が勇気を出してあと少し瀬那先生に近づけばキスができるほど近い距離にいる私たち。



顔色一つ変えない瀬那先生。



「それはさすがに困るな」



瀬那先生はそう言って……ネクタイを握る私の手をゆっくりと離した。



わかっていたはずなのに。



そもそも先生とどうこうなれるはずがないのに……。



ただの生徒に突然そんなことを言われたら、瀬那先生も困るだけ。



想像していたはずの返事に、すごく傷ついた。