「じゃーね」


ボクと志悠に、お気楽そうな笑みを見せ、ひらひらと手を振る碧人。


碧人は違うクラスで、ボクと志悠は同じクラス。


「じゃ、…行こ」


勇気を出して、ボクは志悠の袖を軽く掴み、教室まで歩く。


「ん!」


にこっと、満面の笑みを見せて、志悠はボクの手を袖から離し、ぎゅっと…


ボクの手を、握った。


まるで、心臓まで握られた…。


ボクが、志悠を抱きしめたいと思うのは、きっと、愛玩用の動物に対するそれと、同じ…。


恋じゃ、ない。

そう、思いたいけど…。