ピピピッ…。


無機質な機械音で、朝を向かえる。


ゆっくりと寝返りをうって、ベッドから足を出す。


足の裏に、ベッドからずり落ちたタオルケットの感触。


背中の下に、愛用のイヤホンが沈み込んでいた。




ピピピッ…。



わざと部屋の扉の前、というベッドから離れた場所に置いた目覚まし時計が、再び朝を知らせた。


機械音は耳に心地が良い。


何の感情も含まない無機質さが、“ボク”には優しいから、好き。



目覚まし時計を止め、手指で首が隠れるまでの短髪をすき、扉を開く。