「重いよね、ほんとごめん。」


「全然だけど」


「そんなわけない…」


「ほんとだってば。……つか、さっきの電話、彼氏と来てたの?」


「か、彼氏?」


「そーそー」



さっきの電話、と言われて思い当たるのは桜井くんしかない。

あの距離じゃ由利くんにだって会話が聞こえていたのかも。


でも、頭の中に思い浮かべる桜井くんは彼氏でもなんでもなくて。


なんでもない。……けど、なら、桜井くんを表す言葉はひどく難しい。



「彼氏、ではないです。……なんだろう、同居人、かな…?」



咄嗟に出た同居人ワード。

確かに合っているけれど。



「同居人?…珍しいね」



明らかに驚く由利くんに、こちらも驚いた顔表情で返す。


だって、それ以外になんて言ったらいいのか分からないから。