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「何から何まで、ごめんね…」
「怪我して歩けないんだから気にすんなって。謙虚だわー、ほんと。」
結局、最後の最後まで由利くんに頼る形になってしまい、今は背中におぶられながら家まで送ってもらっている。
わたしが謝ればポンポン、と安心させるかのような手は由利くんのもの。
桜井くんに、由利くんに、
わたしは優しい人に恵まれているなあ。
「そこを左に曲がって、真っ直ぐです。そしたらすぐに家…、だと思う」
お祭り会場の付近からは、スマホのナビを使ってなんとか進んできた。
ゆっくり、結構な時間をかけて現在地までたどり着いているものだから、由利くんの負担はどう見積もっても大きいはずで。
それなのに余裕しか見せてくれない由利くんは一体何者なんだ。