その表示を見た途端、自分の顔が青ざめていくことが分かる。
や、やばい。
怪我をしたことや由利くんと出会ったことですっかり頭から抜け落ちていたけれど、ほんの少し前にわたしは桜井くんから逃げ出してきたばかり。
……逃げ出した理由は、思い出すと何故か苦い気持ちになるけれど。
でも、今は考え事なんてしてる場合じゃない。
急いで通話ボタンを押した。
「もっ、もしもし!あの、」
『お前、どこにいんの……はぁ』
珍しく桜井くんの息が乱れてる。
もしかして、走って探してくれてる…?
「さ、桜井くん、ごめんなさい。迷惑かけてしまって、」
『…まじで迷惑なんだけど』
「ほんとすみません…」
最後の方は、消え入るような声になってしまった。
でも、絶対に走ってくれてた。
桜井くん、暑いの苦手だって言ってたのに。
絶対ダメだけど、
嬉しいって思ってしまう。