あれから、2週間。

「瑞季さん彼氏いないんですか!いつからいないんですか!」

「ん〜2年ぐらいいないかな〜」

「えーなんで!俺、立候補していいっすか!」

「珠貴。お前さっさと皿洗えよ」

ワイワイと楽しそうに話す声に、低い声でそういう。

「ぶー。せっかく盛り上がってるのにー!ヘイヘーイ」

チッ。

珠貴がうちで働くようになって、心の中での舌打ちが止まらない。

コミュ力が高くて接客も難なくこなす珠貴は、最悪なことに、仕事を覚えるのも早く、

店長や他の従業員からの評価が高い。

この間、店長に『いい子を連れてきてくれてありがとう』なんて言われた。

「珠貴くんってほんと仕事覚えるの早いね〜」

瑞季さんも。
俺と話しているときなんかより数百倍楽しそう。

一緒にケラケラ笑って、あいつのことを褒めて。

瑞季さんは珠貴みたいなやつがタイプなのかなって気持ちがよぎってムカついて。