「え、珠貴くん、うちで働いてくれるの?今人手不足でめちゃくちゃ困ってたんだ!来てくれたらほんっと助かるよ〜!ね、若葉くん」

「……いや、けど、どうかな、こいつは……」

「えー!なんでだよ!瑞季さんもこう言ってくれてんじゃん!ね!決まり!」

決まらねーよ。

ムリムリムリムリ。

知ってる。
うちが万年人手不足でヒーヒー言ってるのは知ってる。よーくわかってる。

でも珠貴が無理なのもわかって欲しい。
瑞季さん。

こいつだけはダメなんだよ、マジ。

チャラいし、チャラいし、チャラいし。
さっきの話を聞いてもっと無理。

バイト先で女とそーいうことしてたとか。
こいつだけはマジで論外なんだって。

「もし珠貴くん入ってくれたら私ももう少し休み取りやすくなるし、助かるんだよね。珠貴くん明るくて話しやすいし。合ってると思うな。前に接客業やってたりする?」

「えー瑞季さんめちゃくちゃ俺のことわかってくれるじゃないですか〜?実はこの間まで居酒屋にいて〜」

あぁ、時間を巻き戻したい。

そしたら、さっき学校を出たあの時間をずらして、こいつと会わないようにする。全力で。

ほんっと……最悪だ。